宛がわれた自分の部屋でいそいそと就寝の準備をしていた時に、それは突然やってきた。


「よう!起きてるか!!?」

「うおびっくりした!」


夜にも関わらずばーんと遠慮のない音で部屋の襖を開けたのは、私達が現在お世話になっている長曾我部元親さまだ。
自分の城だから当然なのだが、ずかずかと私の部屋に入ってきて何が楽しいのか豪快に笑う。

と、少しして漂ってきた独特の匂いと赤らんだ表情に顔を顰めた。ああこのせいでやけにテンションが高いのか。


「元親さまくさい!お酒くさ!!」

「はっはっはっは!まぁいいじゃねえかそんなことは。」

「よくねーよここ私の部屋ですよ。寝たいんなら場所間違ってますけど、大丈夫ですか?」


元親さまが喋るごとに強い酒の臭気がむわっと部屋に広がりひくりと頬が引き攣る。
三成さまと島津さまと酒盛りをやっていると聞いていたけれど、相当呑んでいたようだ。
嫌がる三成さまを引き摺り男同士の話し合いだと言われてしまえば私には仕方がなく、こうして寝る準備をしていたというのに。

私の全力の早く出ていけオーラを爽やかにスルーし(これだから酔っ払いは!)私の腕を掴んで内緒話をするように耳を寄せた。


「お前らさぁ・・・実はまだなんだろ?」

「はあ?何がですか・・・・それよりも息が臭いですーお酒臭いですー。」

「うんうん分かるぜ、石田もあんなんだしな!」

「だから離れて、って・・・・何でそこで三成さまの名前が、」


そこまで続けてから逞しい肩にもたれかかる様にぐったりと肩を貸されている細い身体に気付いた。
雪のように白いはずの肌は淡い桜色に染まっていて、慌てて三成さまの顔を覗き込む。
ぐったりと元親さまに身体を預けて目を閉じている姿は意識があるのかもあやしいところだ。

そして同時にさっきから元親さまの言いたいことが何となく察しがついてしまった。


「・・・・・・・・・・・・元親さま元親さま、まさかとは思いますが。」

「おっ?さすがに分かったか!いやーも結構アレだな!!」


どや顔でぐっと親指を立てる海賊に私の血管がブチ切れる音が聞こえた。


「ざッけんなボケェ!!!!!私をいくつだと思ってんだアンタら!!
 中学生の男子じゃなくてもそりゃあ察しもつくわ!!!アホか!!!!」

「いやーもそういうのとは縁がなさそうな顔をしておきながら結構・・・」

「いや人の話を聞けよ!!なんなの、酔っ払いって人の話を聞かないようにできてるの?わざとなの?なんなの!!?
 あとほんと余計な御世話だよ!早く三成さまを部屋に戻してあげてよほんと余計な御世話だよ!!っていうか下世話!!!!」

「まあまあ落ち付けって。」


ぼすり、とぐったりした三成さまの身体を私にもたれかけさせて元親さまが部屋から出て行こうとする。
本人の意識が朦朧としている以上、ほっぽり出す訳にもいかずおろおろしていると当の本人はエエ顔で私達を見て


「じゃ、お二人さん後はごゆっくり・・・なんてな!後で結果を聞かせてくれよ!!」

「ッ死ね!ほんとに死ね今すぐ死ね空気を喉に詰まらせて窒息しろ!!!」


普段は自嘲している罵声を飛ばすが元親さまはどこ吹く風と言った様子でさっさと退室してしまう。
まさか本当に出て行くなんて、それを呆然と見送ってから仕方がなく三成さまを私が眠ろうとしていた布団の上に肩を貸したまま下ろす。


「ちょっ、三成さま生きてますか?大丈夫ですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・。」


意識があるみたいだけど返事がない。ただの酔っぱらいのようだ。

まあ、いかにも三成さまはお酒に強くなさそう(弱いかどうかは別として)だし、一緒に飲んでた相手は酒豪だ。
そんな人達に付き合わされて飲んでいたら誰でもこんな状態になるだろう。
しかし泥酔状態まで飲ますなんてやっぱり元親さまは殴られるべきである―――島津さまは、まあいいや。

ひとまず水を飲ませなければと視線を彷徨わせた顔を、微かに温かい手が顎にかかり引き戻した。


「・・・・・・」

「み、みつなり、さま、」


とろんと蕩けさせた瞳が私を見つめ、淡く色付いた唇が熱に浮かされたように名前を呼ぶ。
相変わらず男の人とは思えない美貌がいつもより無防備に、そして頬を酒で桜色に上気させた姿に背筋を何かが走った。
ぞくぞくと肌が粟立つのに戸惑っていると三成さまが私の両頬をそっと包む。ああ、また何かが脊髄を伝っていく。


「あ、っと・・・えっと、元気?」


当たり障りのない言葉を選び過ぎてアホみたいな言葉が口を出た。

服を脱いでいるわけでもなくただ見つめられているだけだというのに、年端もいかない少女の媚態を見せつけられているよう。
普段では考えられないような甘えるような声と無防備に誘っている表情に遅れてかあっと私の頬も染まった。

壮絶な色香にあてられて何もできずにいると、薄桃色の唇が悪戯に私の指を甘噛みする。
真珠のような歯に食まれ、愛おしげに長い睫毛を伏せる姿に・・・うわあああ何だこれまたぞくぞくする!
指先から伝わる極上の蜂蜜のように甘い痺れに、酒を飲んでもいないのに呂律がうまく回らなくなる。


「みつ、みつなりさま!もしかして、完全に理性とか意識とか、飛んじゃってます?酔っ払い?」

「・・・・・・・・・酔っぱらってなどいない。」


酔っ払い扱いする言葉に少し不機嫌そうに眉を顰め、自分も倒れ込むように私の身体を組み敷いた。
はあ、と漏れた熱っぽい吐息はやっぱりお酒臭くて私まで酔ってしまいそうだ。何だかくらくらしてきた。

・・・・・・それにしても何で酔っ払いって酔っ払いだって指摘すると怒るんだろう。しかも頑なに否定するし。


「って現実逃避している場合じゃねえッ!!」


ぼうっと陶酔していた意識を何とか覚醒させ、起き上がろうと試みるが細腕にあっさりと抑え込まれる。
それでも場の雰囲気に呑まれそうになるのがなんとなく怖くて格闘していると、柳のような眉が更に顰められる。

これ以上この猫のように気まぐれな機嫌を損ねると何をされるのか分からないので溜息をついてお手上げの体勢をとった。
すると砂の城を征服した子供のようなあどけない表情で少し満足げに微笑むものだから、ああそんな表情も可愛いと思う私は重症だ。

理性ここにあらずといった瞳で三成さまが持っていたお酒の瓶を口に含み、飲み干す前に私に口付けた。


「んん!・・・っふ、ぅむ・・・・・」


口移し。マウストゥマウス。

言葉と意味は知ってこそすれ、実際にやられたのが初めてで頭の中が驚きの白さに漂白される。
酒の強烈な苦みに顔を顰めて何とか飲み込まないように堪えていると、薄い舌を絡ませられびっくりしてしまう。
その隙に無理矢理に飲まされて、三成さまの口内で人肌に温められた液体が喉をゆっくりと通り過ぎていった。


「っふ、は・・・・っん、ぁ・・・・・」

「・・・・よくやった、。」


ゆっくりと私の喉を通る酒を、私の首筋に指を当てて満足そうに確認するが何でそんなに嬉しそうなのか分からない。
しかし頭をゆっくりと撫でていく手はまるで生徒を誉める教師のようだった。ほんと酔っ払いって何を考えてるのか分からない。
そして酸欠のせいもあるだろうけれど自分の口を衝いて出た甘ったるい声がどこから出てたのかも分からない。

結論。穴があったら入って二度と地上に出られないよう自爆して生き埋めになりたい。


「う、ぇ・・にが・・・これもしかしてすごく強いお酒なんじゃ、」


私の口端から微かに零れる酒を、もったいないとでも言うように温い舌が舐めとっていく。
再び間近で直視させられる三成さまの媚態にもう頭が羞恥心でパンクしそうだった。

いや、むしろいっそパンクして意識がどこかに行ってしまえたらどんなに楽か!しかし私はまだ正気を保っている。

酒と三成さまに酔って、腐った果物のように頭の中がぐずぐずに蕩けていくのを感じる。
未だ低い温度の手が私の前髪を掻きあげながら、生え際を微かに濡れた音を立てて口付けていくのに情欲を掻き立てられる。

自慢じゃないがこういうことに全く免疫がない私はぼうっと相手のなすまま、まな板の上で横たわっている鯉のようだった。


(なんか、動物に喰われているみたいだ・・・)


猫―――いや、虎か豹か、何でもいいけれど猫系の肉食動物系の。

しなやかな獣に組み敷かれて唇や肌を貪られる今の絵は捕食の図に似ている。
なんかもう何もかもがどうでもよくなってきて、明日どうやってこの原因となったあの男を殺してやろうかと考えた。

けれど笹船のようにゆらゆらと流されかけていた意識は、三成さまの足が私の着物の間を割ってやっと覚醒する。


「ちょっ、ちょっとまっ、待った!」

「――――何だ。」


さっきまでは上機嫌だったくせに、もう、ほんと酔っ払いのこのテンションの上下がいやだ!

不機嫌そうに、または宥めるように私の額や頬や鼻に唇が降ってきて、またぐらりと理性が揺れるが自分の手に爪を立てて堪える。
身体の密着した部分が熱を孕んでいるのがまた官能を煽るが、蚊の鳴くような声でやっと言葉を絞り出す。


「や、あの・・・・えっと、止めませんか?こういうの。」

「は、私が嫌いなのか・・・・?」

「えっなにそれこわい。」


しょぼーん、と怒られた犬のように悲しげに瞳を伏せて三成さまが私の頬を撫でる。
高い矜持に守られていない初めて見るような表情にうっと声を詰まらせた。どうしようめちゃくちゃ可愛い。

だがしかし私はいくら可愛いチワワにおねだりされようと金を借りたりはしない主義だ。
白い犬に誘惑された程度でも私は携帯を買い替えたりはしないぞ。


「いや、まさか嫌いなわけないでしょうが・・・むしろ大好きなんですが。
 他の人にこんなんやられたら私ブチ切れるってレベルじゃないですよまじで・・・三成さまだから何もしてないんですよ?」

「・・・元親が、私がに手を出さないから寂しがっていると言っていた。」

「んな事言ってねーよあの眼帯まじ今すぐ殺す絶対に殺す海に沈めて魚の餌にしてやる。」


最後に残してった海賊のエエ顔に想像の中で華麗な飛び膝蹴りをかましておく。
実際はせいぜい踵落としが関の山だが、孫市さんか鶴ちゃん辺りに力を借りれば凄惨な復讐ができるはずだ。
えっ人の手を借りるなんて卑怯ですか?私はそうは思いませんこれに関しては。

割と真剣な殺人計画を練って心が菩薩のように穏やかになったところで、月明かりの色に光る頭をそっと自分の肩口に押し付ける。


「いや、まあ、こういうのをやるのは・・・ええと、三成さまだったら嫌じゃない、けど。
 でもこういう風に酔った勢いで流される感じでやるのは勘弁してほしいなぁとか。」


さらり、と指通りのよい髪が私の手の中で弄ばれる。
こんなことをさせてもらえるのはお世辞ではなくきっと自分だけなんだろうな、と思うとなんだか愛しくなった。

・・・・・・しかしここまでの乙女回路を私に積ませるなんて三成さまもまた凄いと思う。これが恋の力ってやつか。


(けど、まぁ三成さまが今まで私に手を出さない理由は、なんとなくわかるんだけどね。)


親友が死んだのに自分が幸せになっていいのかと―――人知れず問答して苦しんでいるのは分かっていることだった。
だから自分から無意識に幸福を遠ざけようとしているのも感じていたことだった。これでも私はずっとこの人の傍に居たから。

でもポッと出の私が何かを言って癒せるものなのかと、結局は遠くで見つめていることしかできなかった。


(元親さまもそれを見越してこんなことしたんだろうけど、やり方がむかつくからやっぱり殺す。)


人間は殺意の臨界点を超えるといっそ穏やかになるのだということは置いておいて。

ぎゅうと白い頭を抱き寄せて、こうして身体を寄せ合っているとなんだか母親になった気分だ。
どう逆立ちしてもこんな綺麗な人が私の腹から生まれるとは思えないけど、でも何だか温かい気分になる。えろいものではなく。


「なんていうか、私は三成さまと一緒に幸せになりたい。」


もう片方の手を骨ばって微かに熱を持つ三成さまの手に絡ませる。
すぐさま当り前のように握り返してくれるそれが、また母性をくすぐられるようで微笑んでしまった。
低めの温度が色々なことですっかり熱に冒されている自分の身体には心地いい。


「私が幸せになるには三成さまも幸せでないと、駄目なんだ。
 もし目の前にとびっきりおいしいお菓子があっても、今だったら私はそれを独り占めしないで三成さまと食べたい。
 三成さまがもし同じ幸せを感じてくれたら、幸せになってくれたなら・・・もし私が幸せにしてあげられたら、幸せだな。」


うまく言えないけれど、私が三成さまの幸せなんておこがましいかもしれないけれど。

そうごにょごにょと言葉を濁せば相手が何と言葉を返してくるのか少し怖くなる。
呆れられていたら、厚かましいとか下らないとか言われたら、少しの間は立ち直れない。
こういう風にエエ事を言った経験も、ここまで真剣に誰かの幸せを願った事も、まだない私には全てが手探りだ。


「―――私も、が幸せなら。」


それで幸せだ、と砂糖菓子のように甘い言葉と声で三成さまが私を見下ろす。
端正な顔に嵌められた二つの宝石は私を優しく見ていて、なんだかそれだけで幸せになる。重症だなぁ。


「そう?だったら嬉しいな。」


少し微笑んでから、意を決して少し温度の低くなった唇にキスをする。
微かに見開かれた葡萄の中身の瞳には、熟れた柘榴のような私の顔が映っていてまた頬が熱くなる。

もしかしたらこのまま熱が上がって布団の上で溶けて死ぬのかもしれない。それでもこんな幸せな気分で死ねるのならそれは、


「だから、とりあえず今日は寝よう。」

「・・・・・・・」


真剣な表情とぐっと握り拳を作る私に三成さまの瞳には不服の色が微かに滲む。
名残惜しげに温い温度の手が私の首筋を撫でるのを苦笑して流す。もう情欲など駆り立てられない。
ただくすぐったさに身を捩るだけだ。やっと頭の中も普通の温度に戻ってきたのを感じる。


「いやさっきも言った通り酔った勢いとか絶対やですからね私、ほんと嫌ですよ。」

「私は酔ってなどいない。」

「いや酔ってますから。べとんべろんですから。」


完全に据わっている瞳にじろりと睨まれるが、かすかに上気した頬とこの人にしては高めの体温が物語っている。
元親さまのようにテンションが無意味に上がるのではなく、どうやら三成さまは子供っぽくなるみたいだ。

やることは成人指定なんですが。ああでも普段は見せないこんな無防備な表情変化マジ天使とか思っちゃう私ってほんとに末期。


「・・・酔っていなければいいのか。」

「えー?あ、うん?うん・・・・」


そうか、と言い終わるや否や私の顔の横に糸が途切れたように倒れ込む。
一瞬だけ身体が硬直するがそのまま反応がないのがわかるとやっと息を吐いた。

・・・・・勢いに任せてあんなことを言ってしまったけれど、こんな状態だったしきっと忘れてくれるだろう。


(それにしても三成さまにどきどきしたりぞくぞくしたりするなんて、私ってもしかしてえろいんだろうか。)


正直、少しショックだ。開けてはいけない扉を開いてしまった気分。

微かな寝息を立てる三成さまの頭を起さないようにそっと抱き寄せ、銀髪を優しく梳いて慈しむ。
愛しい人がただ自分に身体を預けてくれている、というだけなのに胸が震えるような幸福感に包まれて私も眠りに落ちた。
















「、・・・・・・・・・」

「んあ?」


微かに肩を揺らされてゆるゆると目を開けると、三成さまが私を見下ろしていた。
長い銀に縁取られた瞳が私を見下ろしていて前髪を掻き分ける動作にくすぐったさを感じる。

けれどどうして三成さまがここに居るのか―――ああ、そういえば昨日は大変だったんだっけ。
思いだすと羞恥心まで蘇ってくるがなんとか飲み下して言葉を紡ぐ。そういえば三成さまは記憶に残るタイプなんだろうか。


「おはようございます三成さま。もう酔いは大丈夫ですか?」

「だから私は酔っていないと―――」

「えっ何もしかしてまだ酔ってるの?まあいいや・・・私、元親さまに大事な用事があるので」


失礼しますね、と起き上がろうとした身体を再び地面に押し付けられる。
行動の意図が読めずに頭に疑問符を浮かべていると、三成さまは少し不機嫌そうな顔になった。


「えー・・・?あの?」

「貴様の頭は自分で昨日言ったことも覚えていないのか。」

「昨日言ったって・・・・・え!?あれのこと!!?」


寝る直前にうっかり口走った約束(?)のこと?えっ?

よく覚えてたね私も忘れようとしてたのに、という軽口は出した瞬間に殺されそうだ。
だって雰囲気がマジです。真剣と書いてマジです。そんな事言ったら斬滅されそうです。え、まじで?


「いや、さ、でもあんだけ酔っぱらってたんだから三成さまも二日酔いでしょ?だから、」

「問題ない。」

「えー、っと、無理は禁物っていうか私元親さまに用事が・・・・んむ、」


予告もなく唇を重ねられ、ぽかんと驚いて開いた口に再度深く口付けられる。
切なげに瞳を伏せながら唇を甘く食み長い舌が口内をなぞるように動き、思わず身体がふるりと震えてしまった。
口腔を柔らかい舌が愛おしげに撫でて、歯列を確かめるようにゆっくり動いている、と分かったのはここまで。

一瞬だけ意識が飛んで、こういう経験が全く乏しい私は酸欠とどう理解すればいいのか分からない口付けに頭の中がくらくらしていた。
ああ、もしかしたら今ので完全に溶けてしまった脳味噌が耳の穴から出たりしてないだろうか。出てたらいやだなぁ。

互いの吐息が当たるほど近く、美貌の直視と酸欠で思考停止した頭に三成さまが宣言する。


「酒の味は?」

「しな、かったけど・・・でも、」

「往生際が悪い。いい加減に諦めろ―――私はを抱きたい。」

「あ、ぅ・・・・・」


えろいことだというのこうも堂々と言われてしまえば反論の気も起きないのは何故だろう。
けれど未だ恥ずかしさやら何やらで逃げ道を探そうと彷徨う私の目を三成さまが捕らえ、つうと扇情的に首筋を指でなぞる。
それにまた情欲を煽られて肌がざわざわと粟立つのを感じた。ああ、もしかしたら私は本格的に駄目なのかもしれない。


「が欲しい。」


何の飾り気もない、羞恥も打算もない、清冽なまでの愛の言葉。

抜き身の刀のような告白に胸を貫かれて再びぞくりと脊髄を伝わるあの何か―――それが欲情だとやっと理解して戸惑う。
今まで何かに、誰かにこんなものを抱いたことはないというのに、私は、


「私も、三成さまがほしい・・・・たぶん?」


たぶん、というのがお気に召さなかったようだがそれでも及第点だったようで三成さまが私の身体を抱き寄せる。
満足気に溜息をつくのがまるで日当たりのよい場所を見つけた猫みたいで、もしかしたらこの人も不安だったんだろうかと思った。


「大人しく私に啼かされていろ。」

「っ・・・・・、お手柔らかにオネガイシマス」


そう言った三成さまは今までに見たことがないような優しい笑みを浮かべていて、残っていた僅かな抵抗などとっくに失せてしまった。




































→蜜月
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あとがき。
岡様リクエスト(酔っ払いで理性ぐらぐら)でした!リクエストありがとうございます。

実際に酒に酔っぱらってるのは三成ですが、ヒロインはその三成に酔っぱらうという両者泥酔の図でした。
仕方ない。三成は全方位全種族色香放出スキル持ってるから仕方ない。

最近、不幸せな妄想ばかりしてたせいかこういう甘い系の話を書こうとするとムスカ状態になります。
余裕ぶってる時じゃなくて飛行石の結晶が割れたあたりぐらいの時の。
最後の辺り『悲愴』とはえらい違いですね。ちゃんとフラグを立てておけばこうなるという。

三成に誘われたら普通の女子なら欲情すると思うんですがどうですか。
あ、もっとソフトに言った方がいいですね・・・・ムラムラします。 スゲーッまじでえろい!!
むらむら系の描写をしていると私が居たたまれなくなるのでポポロクロイスで心を鎮めようとしてたらいつの間にか3章突入してました。
ナルシアたんのホーリーバースト無双で敵を消し炭にしてやるぜ!トビケラはちょっと使いにくいかな。
 
ところで三成の眼の色って何色なんですか。未だに分かりません。教えてえろい人!

では、30万打どうもありがとうございました!

 
2011年 2月27日執筆  八坂潤

 
 
 
 

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