「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


夜のひんやりとした空気を頬に受け、ぼうっと廊下の柵に寄りかかって魂を飛ばす。
見た目にはアンニュイな表情を浮かべて月を眺めているだけのように見えるかもしれないが内心では白目を剥いていた。

背後からは襖越しに宴会の姦しさが聞こえてくる。
主に騒いでいるのは長宗我部様と島津様だろう。あの暗い面子にその二人だけは場違いだ。
いや、もう一人やたら熱くて色も赤い人も居たけれどまぁいいや。


(あー・・・・きん、ちょう、した・・・・・・・)


一般家庭出身のこの凡人が偉い家の人間になってしまい、そして偉い武将の人達と食事会に参加するなんて誰が予想しただろう。
皆を一目見たときは島津様を除いてその年齢層の若さに疑ったが纏う空気?圧力は圧倒的に違う。

別に私に対して敵意はないみたいだったけれど、チキンな私には空気を吸うことさえ苦行だった。
三成さまと吉継さまの為にむしろあそこまで耐えた自分は褒められて然るべき。いやまじで。

戦勝祈願の宴ということで皆にも酒が入り始め、ようやく私がいなくてもいいような空気になったからやっと脱出できたのだ。


(それにしてもアレだ・・緊張が終わったせいかお腹減ってきた。)


緊張感で満たされていた胃袋が徐々に食べ物が欲しいと訴え始めてきたのを感じため息をつく。

私はせいぜい迷い箸をしてはいけないだの二つの箸で同じものを持ってはいけないだの、その程度しか食事のマナーは分からない。
だからいくら目の前で豪勢な料理が並んでいようとも、周囲の人がそれをおいしそうに食べようとも手を付けられない。
こう、あんまりガツガツ食べちゃいけないんだろうけどその加減が分からないしそもそも私も食べていいのかとか。

まぁ例えあの場できちんとした食事のマナーの知識があったところでどうせ喉なんて通らなかっただろうが。
ボロを出さないためとはさすがに必死すぎである、というのは今だからこそ言える。


(でもあの中に戻りたくないしなぁ・・・って勝手に出てきちゃったけどもしかして最後までいなきゃ駄目?
 うわーやだなぁもう空腹を抱えてままでもいいからこのまま部屋に帰って寝たい・・・・
 戻らなきゃいけないって言うんならせめて何かつままないと持たない。精神的にも胃袋的にも。)


でも気軽に台所のほうへ行って何かを分けてもらえませんかねと言えるほどこの場所には馴染んでいない。
こっそり戻ってこっそりまた出て食料を補給するというのはどうだろう。気分はもうスニーキングミッションである。ここ敵地じゃないのに。

気分はもうダンボールを探す位のテンションで決心をしたところ、宴会部屋の襖から誰かが出てきた。


(ん・・・・?あれは、えーとあのアメリカザリガニみたいに真っ赤な出で立ちは、えーと、真田幸村様、だっけ?)


燃える炎を体現した赤い格好に虎の尾のような尻尾毛、精悍な顔つきはさっき紹介された偉い武将さんだ。

そうでなくても、いくら歴史に疎い人間でも真田幸村は知っているだろう常識的に考えて。
テレビやら本やら、はたまた漫画やらゲームやらでもその名前は見かけることができる。紛れもない著名な武将。

・・・・・問題は、何故そんな人が見てて気持ち悪くなる位のみたらし団子を皿に盛っているのかということだ。
え?何あれ?ケーキバイキングに来て張り切っちゃったはいいけど後で食べ切れなくて店員さんに白い目で見られるタイプ?
そもそも確かあの人は宴会でも結構食べてたような気がするんだけど、甘味は別腹ってレベルじゃねーぞあの量。

私が胡乱な目で見ているのにも気付かずに、その人は廊下にどっかりと腰を下ろすと皿のみたらし団子を見つめる。
横顔で少し距離があるから正確ではないけれど、どうやら子供のように目を輝かせているようだ・・・っていうか犬?

そしてみたらし団子を三つ(!)とると一気に頬張る。ハムスターのように頬が膨らむ。ごくりと擬音つきで飲み込む。


「・・・・・みたらし団子そんなに一気に食べられるって凄いですね。」


すごい武将かと思ったらすごいフードファイターだったでござる。

素直にその食べっぷりに感心してしまい、声をかけると真田様は大仰に肩を跳ねさせた。
そしてぎ、ぎ、ぎ、と油を差していない人形の動きでこちらを振り向く。その目は宙を泳いでいた。

まるでいけないことを指摘しまったかのような空気に少しおののく。


「あ、えっと、それは、この、某は、甘味など、食べては、ござらぬ、よ?」

「いや一気に三つも食べるとか言う荒業を披露しておいて何言ってるんですか。」


相手は名だたる武人だって言うのに、あんまりにもな言い訳に思わず素になって突っ込んでしまった。
もしかしたらこれも失礼にあたるんじゃないかと感じたがもう遅い。
けれど幸運なことにそんな瑣末なことは気にしていないようで、真田様の目はこちらと甘味を何度もいききしている。

子供の見え見えの些細な嘘を空気も読まずに指摘してしまったような気まずさ。
よく分からないけれど相手にとってはこの状況があまりよろしくないものらしい。


(うーん?わざわざ部屋を出てみたらし団子食べてるってことは見られたくなかったのかな、それともあの空気が嫌なのかな。)


理由はよく分からないけれど私とこの人の利益はおそらく一致するんじゃないだろうか。
ピーンと金田一君よろしく名推理をした私は真田様に近付く。無礼にあたったら全力で謝ろう。


「えっと、真田様すみません。そのお団子、私にも分けてもらえませんか・・・?
 宴会の間ずっと食欲がなくて、でも今はすっかりお腹が減ってしまって・・・・・」

「あ、ああ、いいでござる!今別のものを・・・」

「いやその皿に載っているのでいいですけど・・わざわざ取りに戻るのも手間でしょう。」


ほぼ初対面のイケメンの隣に図々しく座る、というのはさすがに気が引けたので近くに腰を下ろして団子を一つ拝借する。
それでも一瞬、作法とかを考えたがそもそもこの人が豪快な食べ方を気にしてるからいいだろうと普通に食べる。

口の中に広がるタレの甘みともちもちとした団子の食感、ああそういえば朝から夜まで何も食べてなかったんだなと今更思い出す。
続いてもう一つ、みたらし団子を口に頬張る。そういえばこの竹串はどうすればいいんだろう。考えてなかった。


「っぷは!生き返る・・・おいしいよ、お団子おいしいよ・・・・!」


二本食べたところでようやっとまともな思考回路が戻ってくる。
続いて三本目、と手を伸ばしやっと自分が真田様にガン見されていることに気付いた。

思わず伸ばしかけた手を止めて焦る。やばい、粗相をしたかもしれない。いくら空腹だったとはいえ、私爆発しろ。


「あ、えっと・・すいません、食べ過ぎ、ましたかね・・・・?」

「え?いや、そんなことはないでござる!いい食べっぷりでござった!!」

「うーん・・それって女としてはどうなんでしょう・・・・すいません。お腹が空いていたもので・・・
 あの、もうちょっとだけでもいいんで食べてもいいですかね?ほんとすいません・・・」

「そんな、滅相もない!もともとこの団子は石田殿の城の料理でござる!!だから殿が食べても問題など!!!」

「あ、ありがとうございます。」


なんかいちいち語尾にびっくりマークでも付いてそうなくらいに勢いのある人だ。そして声もでかい。

正式に許可をもらえたので、そのまま三本目の団子をもぐもぐと頬張る。ぷまいです。
その間抜けな様子をまじまじと観察されているのを感じながら、続くもう一本は真田様に差し出した。


「真田様は食べないのですか?さっきまではすごい勢いで食べていたのに・・・」

「・・・殿は、某が甘味を食べることを、笑わない・・・でござるか?」

「へ?何で真田様が甘味を食べちゃ駄目なんですか。さっきのは見ていて気持ちがいいくらいだったのに。」


私としてはフードファイターに出るのをお勧めしたいくらいだ。
どうでもいいけどなんでああいう人達っていくら食べても太らないんだろうね!この人も別に肥満じゃないよね!!別に泣いてないよ!!!

しかし、どうやら真田様は誰かに自分が甘味を食べているところを見られたくなくてここにいたらしい。私みたいな取るに足らない存在でも。
それだったら本当に悪いことをしてしまった。結局、私は彼の甘味タイムを邪魔しその上団子を奪っただけなのだから。


「うーん、と、本当にすいません・・なんか、お邪魔だったみたいで・・・・大丈夫です誰にもこのこと言わないんで。
 でも私、本当に!お腹!空いてたんです!!朝から緊張して何も食べてなくて・・・・!!
 それで真田様が嬉しそうにお団子を食べてるのが見えて、つい誘われて・・・・・」


今からでもどこかへ行った方がいいんだろうか、と慌てていると真田様がふっと笑った。
先程までの家に来たての子犬のような仕草ではなく、大人びた穏やかな微笑みに心臓をぶち抜かれた気分です。

たぶん相手にしてみれば私のほうがテンパってきたんで相対的に自分が落ち着いたとかなんだろうけど、その微笑みドストライクでございます。
ああ、なんだかこの人は悪い人じゃないみたいだ。むしろそう、これは第二のオアシスの発掘かもしれない。ちなみにその第一は家康さまである。


「いや、某の方こそ取り乱したりしてすまなかった。先程の言葉、そう申していただけると某も嬉しい。」


お前誰だよ状態まで回復した真田様が皿をこちらに差し出し、どうやらとってもいいという意味のようだ。
ここにいることが許された嬉しさと再び食料を補給できる喜びとイケメンとご相伴にあずかれるという役得で、内心滾りながら団子をとる。

さっきのような居心地の悪さが払拭されたおかげでさっきよりもうまさが胃に沁みる。うまいです。


「殿は甘味が好きでござるのか?」

「甘味が嫌いな女子なんて滅多にいません。私はその滅多じゃないほうです。そういえば真田様もお好きのようですね。」

「・・・・・そうでござる。武人でありながら甘味が好きなど、女々しいであろう?」

「え!?何言ってるんですか!!!すごくいいと思いますよ!!!!!!」


甘味が好きだけどそれを女々しいかもしれないと隠すイケメンとか超可愛いじゃないですかー!!

そうでなくても甘味を食べるのに権利なんて要らないと思う。んだけどこれは現代人の感覚なんだろうか。
だとしたら今結構あまりよろしくないことを言ってしまったかもしれないが、まぁいいか。私はそう思います。


「どこかの誰かみたいに思い詰めるあまりにまっっっっったく食事が喉を通らなくなるよりもずっと健康的でいいと思いますけどね。
 それに、真田様が甘いものが好きならばこうして一緒にそれを楽しむことができる方が、きっといいことですよ。」

「そ、そうでござる・・・か・・・・・殿は懐の広い方でござるな。」

「いや、まぁ狭くはないですけどそこまで広くもないと思いますが・・・」


ぺかー、という後光付きで邪気ゼロパーセントの綺麗な笑みを向けられたじろぐ。
普段、傍にいるイケメンが暴君なだけにイケメンで性格もいいという組み合わせはすごく新鮮だ。世の中にはこんな人もいるのか。

私が全く敵意を持っていないのが分かったのか安心したように団子を例の豪快な食べ方で頬張っていく。
まるで子供みたいフフフと和んだのは一瞬で、早く食べないと私の分が速攻で無くなってしまいそうだった。


「うーん、三成さまも真田様くらいに食べてくれればいいんですがね・・・
 一緒におやつを食べてくれる人なんて真田様くらいですよ。久々に誰かと一緒に食べられて嬉しいです。」

「某も、おなごのようだと笑われぬ為に甘味を断とうとしているのですが・・なかなかうまくいかず・・・・」

「えー・・・断たなくていいじゃないですか。それも個性ですよ。
 それに真田様が甘いもの嫌いになったら私と一緒にこうして食べてくれないでしょう。」


それは困ります、と言ってみればぼっと真田様の頬が赤くなった。
・・・・ちょっと親しくなったし、軽い言葉のジャブのつもりだったんだけど、どうやら何かを間違えてしまっただろうか。
もしかして向こうとしてはそんなんいい迷惑だぜハハッとか、え、そういう・・・?いやでもそんな悪い人じゃないはずだ。


「・・・・殿は、某と、」


健康的な唇が何かを言いかけた時、すぱぁんと直ぐ横の襖が開いた。
一瞬で頭の中が真っ白になり、その方向を向くとすらりとした?身に透けるような銀髪に類まれな美貌。

我らが城主様が現れたのだが、どうにも不機嫌さは久々に見るマックスゲージだった。おい何があった。

竦む心臓をあやしつつよく観察してみると、普段は雪のような白さの頬が微かに上気し桜色になっているようだ。
あと襖の向こうから立ち込めるむっとした酒の臭気・・・豪快に笑う筋肉隆々のおっさん、いや島津様の手にはありえないサイズの酒盃。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三成さま、もしかして酔ってます?」

「酔ってなどいない。」

「確定じゃないですか・・・何故か酔っ払いって頑なに自分が酔っている事を否定するんですよね・・・・・」

「酔ってなどいない。」

「そんなに目を据わらせて何を言ってるんだか・・・どう考えても酔っています。本当にありがとうございます。」

「酔ってなどいない。」

「・・・・・・・そうですか。」


何を言っても酔っていないの一点張りの押し問答に飽きて、はあと大きな溜息を吐く。
私としては貴重なオアシスタイムを邪魔されてちょっと不機嫌だ。三成さまのイケメンはいつでも命がけで愛でられるのだ。


「石田殿は一体、どうしたのでござろうか・・・・」

「え?今の会話聞いてました!?酔っ払いですよ酔っ払い。気にしなくてもいいと思います。」

「しかし、石田殿は某達の・・・」

「真田様は真面目ですねー。かっこよくて誠実なんて真田様は本当に素敵ですね。」


こんなほぼ完璧超人、二次元でしか生息していないと思ったわハハハ。
このイケメンの嫁になれる将来の誰かがマジで羨ましい。ちょっとそこ代われ。

私の取るに足らない言葉でも真田様はますます顔が赤くなって茹蛸みたいだなぁと思う。可愛い。
しかし同時に三成さまの細い眉毛が跳ね上がり冷や汗が垂れた。悪口じゃないのに何でだ。殺気まで感じる。


「三成さま、もしかして相当酔って・・・・」

「、戻るぞ。」

「へ?どこに?・・・・ぐお!!」


首根っこを掴まれてずるずると襖の向こうへずるずると引き摺られる。
酔っているのもあるみたいだけどやけに不機嫌だ。何か宴会で嫌な事でも会ったんだろうか・・・うう、面倒くさい。

三成さまの暴挙に腰を浮かしかけた真田様にいつものことなんで大丈夫です、と諦念も含めた笑みを浮かべ手を振る。
宴会場に戻り、襖の前で何故か一度立ち止まってからぴしゃりとそれを閉じる。

そして暴君の席まで連れて行かれてどっかりと腰を下ろしてやっと手を離してもらえる。
こんな行動には慣れっこなので今更怒る気もしないが、そろそろと離れようとすると、腰に手を回されて強く抱き寄せられる。

っていうのは甘い表現だ。実際はシェイプアップよろしくぎりぎりと容赦なく力を込められて、ちょ、内臓、内臓はみ出そうコレ!!
さすがに誰かに助けを求めたいが、駄目だ銀髪の眼帯の兄ちゃんなんかは「お熱いねえ」と茶化すだけで全く助ける気配なし。ちくしょう・・!
それよりも頼りになるはずの吉継さまもどこかに消えていた。身体の具合が悪いんだろうか。それとも場の雰囲気に合わなかったんだろうか。
毛利様は既に退席、島津様は飲み比べに夢中っていうかその特大杯どっから持ってきた、官兵衛様は床でのびてる、お市様は見えない何かを目で追っている。

誰かの救助はどうやら期待できないようだ。これだからぼっちは・・・!!


「・・・三成さまー・・・苦しいですーお腹空きましたー離してくださいー」

「・・・・・・・・・。」

「おーい、聞いてます?聞いて・・・・」


ってこいつ寝てやがる!!!!!!!!!!!!!!

長い睫毛を伏せ、寝顔さえも眉間に皺を寄せて抱き枕よろしく抱き寄せたまま寝てやがる。
しかし私を使っても全くリラクゼーション効果なんてないことを完全に品質保証する。誰か助けて。

少しみたらし団子を摂取したとはいえ、未だ胃は空腹を訴えているのに動けないから目の前のご飯も食べられない。
腰に回された手の力はアホのように強いから絶対に痕になるしそもそも現在進行形で痛い。内臓がバヤイ。
あとある程度のイケメン耐性はできたとはいえ、全くそういう対象ではないといえ、心臓も持たない。
そしてこの場所、一番偉い人が座る席だけあって目立つ。超目立つ。この態勢で目立つ。マックス帰りたい。


「何この公開処刑・・・帰りたい・・・・・」


一体私が何をしたって言うんだ。

しかし誰にこの気持ちを訴えるわけにもいかず、がっくりと肩を落とした。

















「・・・・・某は、石田殿に何かをしただろうか・・・・・」


先程、殿を連れて行く際に襖を閉める一瞬の間、ぎろりと蛇のように睨まれたのを思い出す。
武人としてその程度でたじろぎはしないが原因が分からないのが不安だ。

もしかして自分は先の宴会の場で、何か粗相にあたるようなことをしてしまったのだろうか・・・・?


「旦那ー・・だめでしょ、人のものに手を出しちゃ。」

「佐助。人のものとはどういう意味だ?」


音もなく現れた佐助にさして驚くこともなく、それよりも言葉の意味が判らず首を傾げる。
すると大仰に肩を竦ませ「旦那の情操教育間違ったかな・・」と呟いたがやはり意味が分からない。


「言っておきますけど、先に誘ったのはそちらのお姫さんですからね。
 旦那も甘味を食べたいと誘おうとしただけみたいですし、こちらは他に他意はありませんよ、大谷さん。」

「いや、こちらこそすまなんだ・・・アレは世の道理を知らぬゆえ・・・ヒヒッ記憶喪失とは難儀なことよ。」


ふわり、と輿を浮かせて移動してきたのは大谷殿。
甘味を一瞬隠そうかとも考えたが先程、殿が言っていた事を思い返しそのままにする。
大谷殿は包帯に隠された眼差しをちらりと某に向けただけで特に興味はないようだった。


「記憶喪失、ねえ・・・」

「忍び殿。何か不安でも?」

「いいえ、俺様としてはこちらに不利益がなければ関係がないと思っているので。」

「はて、何のことだかとんと分からぬなァ・・・・・」


ヒヒッと笑い声を残し、またゆらりとどこかへ行ってしまう。
まるで白昼夜のような光景に少し気をとられていると、佐助に頭を軽く小突かれた。


「しっかりしてよ真田の旦那ぁ・・・今はもうアンタは大将なんだぜ?行動には責任を持たないと。」

「か、甘味をこっそり食っていたのは・・・すまぬ。」

「違うよまったく。旦那は馬に蹴られて死にたいわけ?」

「?・・・某の馬術の技量については佐助、お主も知るところであろう。」

「・・・・・・・・駄目だこりゃ。」


こんなんで将来、祝言なんて挙げられるのかなと佐助が天を仰ぐ。
しかし視線をこちらに戻す頃には先程の茶化すような光は消え、代わりに刃の鋭さがあった。

―――これは戦場で会うときの眼だ。


「でも真面目な話、旦那。あの子に入れ込んじゃ駄目だよ。
 大将の大将っていうのもあるけど・・・・あのお姫さん、得体が知れない。」


意味は相変わらず理解できなかったが、首肯すると佐助は安堵したような溜息を吐く。
そして某の皿にあったみたらし団子を頬張り、某も食べれば先程の出来事などすぐに頭から消えてしまった。








































→好奇心は猫をも焦がす
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あとがき。
林檎様のリクエスト(三成・大谷の西軍大集会での話)でしたがコレ幸村夢じゃn・・・・ゲフンゲフン

別に真田とはフラグというよりも主人公にとっては第二のオアシス、幸村にとっては甘味仲間ができたくらいにしか思ってません。
だから佐助が心配するようなことでも大谷が気に揉むようなことでも三成が苛々するような事でもないのです。

佐助は主人公がただの良家のお嬢さんじゃないことはとっくに見抜いているけれど特に不利益もなさそうなので放置しているだけ。
それを餌に大谷さんを牽制し、また武田領に対して不利益を被らせないでくださいねーと含めてます。

家のフィギュアがついに七体になってしまいました。
おいこれ去年まではゼロだったんだぜ・・・?信じられるか・・・・?
ちなみにラインナップはストッキングちゃん・まどか・ほむら・ユーリ・ひたぎさん・メルセデス・セイバーリリィです。
関係ないけど私は最近、しまパンというのがあざとく感じるので白に控えめレースがパンツとしては滾ることに気付きました。本当にどうでもいいな。
いや、いかにも勝負下着!っていうのはなんかアレだししまパンは「これにしときゃオタクは喜ぶんだろ?」的な意図を感じてしまう・・・
つまり何が言いたいかって言うと、セイバーリリィのフィギュアのパンツが個人的にはヒットパンツなんですよ。略してHP。本当にどうでもいいな。

タイトルを結びつけるのがそろそろきつくなってきたかな・・・・気にしている人なんていないと思うけれど。

では、30万打どうもありがとうございました!

 
2012年 1月28日執筆 八坂潤
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