私はどうも竹中半兵衛という男が苦手だった。 石田三成のように(今ではそうでもないけれど)嫌いだったのではない、ただこの気持ちを形にするなら「苦手」だった。 普通は逆だと思う。 三成さまのように苛烈な性格は人を寄せ付けないが、逆に半兵衛様は腹の底はともかく誰にでも表面上は優しく接する。 外見だって必要以上に美しい。 変な仮面をしているけれど、癖のある美しい銀髪に整った顔に浮かべられた妖艶な笑みはどんな女性の心をも射止めるだろう。 初めて見た時はあまりの美貌に息が止まったが、しかしそれに心を奪われるよりもなんとなく背筋にいやなものが走ったのを覚えている。 だから未来の話をするために呼び出された時はいつだって緊張した―――自分が相手にいい感情を抱いていないことをバレないようにと。 だが苦手であると同時に私にとっては命の恩人でもあった。 未来から来たかもしれないと名乗る人間をここに置くと許可してくれた人。 そして今現在も私が三成さまに殺されずに息をしている理由をくれている人。 感謝しなければならない立場なのにこんな事を思ってしまうなんて、私はなんて嫌な人間だろう。 そう思うとまた更に気分が落ち込んで、会いたくないと思わせられるのだ。 私が半兵衛様に呼び出されたのは、いよいよ死期が近付いていると噂されたある夜のことだった。 「やあ、君。君とこうして会うのは久し振りだね。 ・・・ふふ、病がうつるからと医者に止められているからそもそも人に会うのが久し振りなんだけれど。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・。」 病身を自嘲するような言葉にどう反応すればいいのか分からなくて、無言で半兵衛さまの布団の近くに正座する。 人払いがされている半兵衛様の部屋はしんとした静寂が横たわっていて人の気配もない。 控えめだけど優雅さを感じる調度品と、何に使うのか分からない書状やら巻物が布団の周囲に積み上げられていてる。 それらは病が重くなっているというのにまだ軍師として仕事を全うしていることを伺わせた。 久し振りに見た布団の上の半兵衛様はただでさえ色素の薄い肌が病気で更に白くなっているようにも見えた。 その美貌は死が近づいているという儚さからか更に磨きがかかっている、と思ってしまうのは不謹慎か。 (逃げたい。超逃げたい。まじで逃げたい。) 半兵衛様の部屋にたった二人きり。 親しくもない男、ものすごく偉い人、というだけでも緊張するのに相手が苦手だと気まずさもひとしおだ。 きっと愛想笑いを浮かべているであろう私とは対照的にくすくすと上品な笑みを浮かべ、微かに咳込む。 慌てて枕元に用意されていた白湯を湯呑にうつして手渡すと半身を起こした体勢のまま受け取ってくれた。 「何か、御用ですか?」 「君は相変わらず僕が苦手なんだね。そんなに怖がらなくてもいいのに。」 「はあ・・・・・」 ―――これだ。 この、人の心を見透かすような、そして実際に見通している言動が苦手だ。 そして相手が自分を苦手としていると分かっているのにそれを敢えて言葉にしてこちらの口を封じる意地の悪さも。 私が卑小な人間だと分かっていて、それを表立って責めるわけでもなく私自身に思い知らせるようなこのやり方も。 そうこちらが思ってしまうのも相手の計算通りだと知っているけれど。 「じゃあ君の望み通りに、単刀直入に言うよ。」 細い喉を微かに鳴らして白湯を嚥下しあの笑みを浮かべた。 角度まで計算された完璧な笑顔から無言の圧力を感じたような気がして居住まいを正す。 「ねえ、君は僕が病で死ぬことを知っていた?」 「、それは―――」 これが私が半兵衛様を苦手とするもう一つの理由にして決定的な要素―――相手が死ぬと分かっていること。 そしてこの人は私が自分が死ぬことを知っていると予測しているであろうこと。 一番聞かれたくなくて、答えたくなかった質問だった。 しかしどうすれば角を立たせずにこの場を穏便に逃げ出せるのかなんて頭が悪いから分からない。 すっかり困った様子の私を見てまた一つ優雅な笑みを浮かべた―――ああ、完全に弄ばれている。だから苦手なんだ。 「・・・・・私の知っている歴史では、あなたは結核で死ぬことになってます。」 「そう、この病の名前は結核と言うんだね・・・・ふふ、」 「――――私を、責めないんですか。」 教科書に載っていることを確認するように半兵衛様が頷き、ぎゅうと正座の上に置いた握り拳に力を込める。 罰がバレて親からの説教を待つ子供のように、責められたくないと思いながら糾弾を待つ。 「安心してくれ、別に君を責めている訳じゃないし責めるつもりもない。 君が未来の医者でもなく薬も持っていないと聞いた時から期待なんてしていないからね。」 「・・・・・・すみません。」 聞き分けのない子供を宥めるようで突き放すだけの残酷な言葉。 医学の知識とは無縁だった私には確かにどう頑張ってもこの人を助けることはできなかった。 しかし相手の心にもない慰めに安心してしまった自分が嫌で顔が歪んでしまう。ああやっぱり苦手だ。 「・・・ねえ、君は三成君が好きかい?」 「好きって・・・え、それどういう意味ですか。」 相手の探らんとする意図をはかりかねて首を傾げた。 どうも話の前後が噛み合ってないような気がするのは私だけか。 それとも本当に気にしてないということを示すだけのただの話題操作か。 まぁ真面目に考えるなら、この場合の好きって、友達的なアレなんだろうかそれとも恋人的なアレなのかはっきりしてほしい。 それによって答えは180度変わるけれど、英語の通じないこの場合ラブとライクの違いはどう尋ねるのが正解なのか。 そもそも三成さまに対して自分が抱いている感情はどちらかの『好き』に当て嵌まるものか考えると疑問だ。 「隠さなくてもいい。君に関する報告は全て僕の耳に入っている。」 いや、だからどっちの『好き』をこの場合は指しているのかはっきりしてくれ。 反論しようとした直前にキジのように口を噤んだのは我ながら賢い選択だったと思う。 どんな些細なことでもこの人は揚げ足を取りに来る。責められる隙をわざわざ自分から作るのはいただけない。 それに否定してしまえば三成さまが嫌いだと言うことで、そういう訳ではもうないと分かっていたから。 しかしそこまで考えて、ああこれも単なる話題転換じゃなくてこの人の好きなずるい質問なんだなと気付いた。 「だから君はここのところ僕に対して反抗的な目をするんだね・・・ふふふ 前までは僕と目が合わないよう健気に努力していたのに、ふふ、そんなに僕と秀吉が不満かい?」 「なッ・・・・」 解答を読み上げるように自分の心の内をピタリと当てられて心臓が止まるような思いだった。 ちがう、そうじゃないという上辺だけの反論はついに言葉にならず行き場を失った。 どんなおべんちゃらも取り繕いの言葉もすぐに見破られる―――ならどうすればいい?どう回避すればいい? 背筋をべたつくような汗が伝うのを感じる。この人は依然私を命を握っている。 「大方、君も家康君と同様に三成君に情が移ったんだろう? あんなに仲が悪かったのに、事なかれ主義の君を動かすなんて三成君もなかなかだね。」 「・・・・・それを、自分から言ってくるってことは、多少の自覚は、あるんですか。」 考えた末、正直に肯定するしかなかった。 言葉も絶え絶えに吐き捨てた戯言に策士の笑みは深くなるだけだった。 私が半兵衛様と秀吉様に不快感を持つ理由―――そう、三成さまをあんなにしてしまったことだ。 今までは人の自由だと哀れに思いこそすれ干渉する気も起きなかったのに、どうして私は関わりたいと思ってしまったんだろう。 自分の違和感を噛み殺して耳を塞いで口を噤んで目を閉じていれば、どうせ違う時代のいつか接点のなくなる人間だと諦められたのに。 (いつからバレてた?いつからだいつからだ、落ち着け、私は、この人の機嫌を損ねるわけにはいかない) 三成さまは美しい雛鳥だった。 豊臣以外の全てを否定して、豊臣の全てを肯定するだけの可哀想な操り人形。 美しいけれど狭い鳥籠で息をする彼には何もない―――そしてそれすらに気付かないほど、彼は狂信的で盲目だ。 そう仕向けたのは秀吉様と半兵衛様、というよりも後者のせいに感じ不平を抱いたのはいつからだったか。 (そうか、私はこの人こそが苦手ではなく・・・『嫌い』なのか。) 誰かの為に全力で他人を憎めるほど正義に熱いと思ってはいなかったが、いつからそうなっていたんだろう。 元の世界の友達の為にも私は拳を振るい悪意を向けるだろうか―――考えたこともない。 迷った末に、感情に戦慄く唇を考えたままに動かす。 「三成さまは、豊臣のお人形じゃない、です。」 「人形、人形、ねえ・・・ふふふふ、それは君がそう思っているだけだろう? じゃあ聞くけれど、君は三成君の人生を否定するほど上等な生を生きているの?」 他人の人生に口を出すような資格がお前ごときにあるのか。 喉笛に突き付けられた刃物に対しての返しの刃が見つからなくて途方に暮れた。 私だってそんな幸福な人生を知っている訳じゃない。自分の人生はどこまでも平凡だった―――ここに来るまでは。 じゃあ私の語る上等な生は、果たして三成さまにとって今のものよりもマシになりえるだろうか。 私は不幸だったとは思わないが幸せな人生が分からない。分からないなら与えられない。 じりじりと断崖絶壁の孤島の端へと追い込まれているような焦燥感。 「君の人生は三成君よりもずっといいものなの?君は三成君よりも幸せ?」 「でも、私は誰かの人形なんかじゃなかった!他にも選択肢はあったし自分で選ぶ余裕もあった!」 「まだ人形と言い張るの?まぁそれが君の反論の拠り所なら妥協してあげる。 でも少なくとも彼は豊臣の為に生きることに納得し喜びを感じている。秀吉に仕えてるんだから当然だけどね。 それを家族でも友人でもないただの第三者の君が泣き喚いて、君こそ自分の生き方に三成君を服従させたいだけじゃない。」 「あ、ぅ・・・」 必死でたどたどしい言葉に対して、当り前の常識を読み上げるようにつまらなそうに返ってくる論理。戦力の差は圧倒だった。 数々の戦いに優れた采配を下してきた軍師とただの一般人では、それだけで天と地ほどの差がある。 現にもう、言いたいことはあっても全ての弾は撃つまでもなく地に落ちた。拾う手間すら今はない。 「君はただ子供みたいに不平を漏らしているだけだよ。ただの我儘で、偽善だ。」 「・・・・・・・でも、やらない善より、やる偽善だって言いますよ。」 「ふふ、でも要は君は僕達に嫉妬しているだけだよ。ふふふ」 嫉妬?私は三成さまを思い通りにできないのに親鳥は指先一つで動かすことができることに?まさか、そんな。 このもやもやと渦巻く赤黒いものが嫉妬とは言い切れなかったが、子供の我儘というのは否定できない。 本人が満足しているのにそれを外野が壊そうだなんて、自己満足を通り越してただの迷惑行為だ。 でも、それでも半兵衛様の行為を私は上手に嚥下することができない。 「残念だったね。彼は変わらないよ―――僕がそういう風に仕込んだから。」 「あなたが、このまま死んで、もし秀吉様にも何かあったら、三成さまをどうするつもりなんですか。」 記憶の中では、秀吉様が戦死したという歴史はないはずだけど、けれどそれもここでは通じるかどうか。 そもそも色々なものが狂っているこの歴史の中で、半兵衛様が正史の通りに死ぬことすら驚いたというのに。 血の滴るような声に彼は例文を読み上げるようにさらりと涼しげに言ってのける。 「死ぬよ。彼は骨の髄から血の一滴まで豊臣のものだ。」 「あ、・・・・・・」 そんな、道連れにすると分かっていて、そんな、 白魚の指が湯呑を畳に置いてから紫水晶の瞳は私を試すように、挑むように向ける。 平生なら逃げたいと思う視線を正面から受け止めて、黒い瞳で不遜に睨み返した。 「彼は僕達が連れていくよ。」 「そんなの、無責任だよ、三成さまがかわいそう・・・」 違う、そうじゃないの。三成さまを連れて行かないで。 けれど言えない、その一言が口から出ない。 私だっていつまでもここに居るのかなんて保証できない。また、私自身も帰りたいと思っている。 だから居てほしいと言いながら置いていくかもしれないなんてできない。それこそ本当に無責任だ。 「じゃあ君が彼にそれ以上のものを与えてあげるの?君が三成君にとって生きる理由になってあげるの?」 「そんなつもりじゃ、ただ、私は、私は・・・・」 私は、三成さまにどうして欲しいんだったっけ? 具体的な言葉が出てこない。漠然とした、ふわふわとした偽善は形にもなっていない。 恐怖を乗り越えてあれほど反論したというのにすっかり気持ちは消沈し、握っていた拳からは力が抜けていた。 そんな私を慈しむように、嘲笑うように、冷たい手が自分の両頬をそっと挟む。 「――――可哀想に、君は無力だね。」 「っ・・・・」 反論の言葉が、今度こそ見つからなかった。私は無力な上にただの偽善者だった。 実際に私が持っているものなんて何もなくて、三成さまのためにしてあげられることなんて、見つからない。 それどころか半兵衛様を救えなかったことで、きっと彼は私を軽蔑すると言うのに。 嗚呼―――間違っているだなんて思わなければよかった。気付かなければよかった。 そうすればもっと平穏に心を乱されることなく過ごせたと言うのに、なんて馬鹿なんだろう。 「半兵衛様、三成様がお出でです。」 「ああ、わかった。」 静かに襖が開いて、女中さんが三成さまが迎えに来たことを知らせてくれる。 あっさりと私を解放して半兵衛様がもう私などには興味をなくしたように、にっこりと拒絶の笑みを浮かべた。 出て行けと紫紺の瞳が促し、しかし最後に苦し紛れの一発を置き土産に置いていく。 「私には―――子供の我儘とあなたの我儘の見分けがつきません。」 そのまま半兵衛様の顔を見ないよう深々と頭を下げて退室する。 結局、こんな反論しかできなくてすごすごと退散する自分が情けなくて、それでも反撃ができないことがもっと情けなかった。 そしてこれで半兵衛様から解放されると安堵してしまった自分自身にも失望する。 「三成さま三成さま、」 「――――何だ。」 夜のしんとした静かな廊下を歩く途中に呼び止めれば、面倒くさそうに、けれど足を止めて振り返ってくれる。 月光を編んだ髪が骨のように白い頬が、色素の薄い宝玉が私を見てくれている。 言葉は相変わらずぶっきらぼうだけどそれだけでも随分な進歩、変化だと思っている。 だからこそ何かの情を期待してしまう―――それ以上の変化を求めてしまう。 「私は、三成さまの何でしょうかね?」 期待するような、厚かましい言葉。 普段だったら絶対に口にしない、疑問にも思わないのに聞かずには居られなかった。 「貴様は私の小姓だろう。何を言っている?」 「――――そう、ですね。変なことを聞いてすみませんでした。」 そう言った私の表情は上手に笑えていただろうか。 特に興味もなさそうに長い足が踵を返し、その後を再び続く。 結局、その日に会った半兵衛様が私にとって最期に見た姿になった。 それから数日して、半兵衛様が亡くなったという話が耳に入ってきた。 起きぬけにそれを聞かされてから、逃げるように朝ごはんも食べずに部屋から転がり出る。 そして広い庭の片隅の方に顔を埋めて、見つからないよう石のように丸くなっていた。 私の絶望なんてどこ吹く風で、頭上の木の枝に止まった鳥は美しくさえずり長閑な日本風景を演出する。 すぐ近くにある茂みは私の卑小な体なんかすっぽり覆い隠してくれたのが幸い。 私が消えたことよりも半兵衛様の死の方がみんなにとってはよっぽど重要で、誰も私を探す気配なんてないのが救いだった。 今は誰の目を見ても自分を責められるように感じて、ただひたすらに恐ろしかった。 (こうなるってわかってた。それは本人にも話してた。でも、でも・・・・) 裾を握る力を強めてぐりぐりと膝小僧に自分の目頭を押し付ける。 気が付けば自分が着物を濡らして嗚咽で肩を震わせて、人目を顧みない子供のように泣きじゃくっていた。 (でも、悲しい。あの人は嫌いだったけれど、でもだからといって死んでいいわけじゃなかった、悲しい。 私は死ぬって分かってたのに何もできなかった。できることと言ったら死因を教えるだけ、何もできなかった!) それに何より三成さまに会うのが怖かった。 いつこのことを狂信者に責められるか、それは避けられないと言うのにそれが怖くて逃げだした。 そして人が死んだことよりも自分が責められることに恐怖を感じた自分が何より醜くて、吐き気がした。 暗澹とした気持ちに沈む私の事など知らずに城の方は忙しい。 いっそこのまま影に融けることができたら。誰かに責められる前に、三成さまに嫌われる前に。 私が居なくなってもきっと誰も困らないから気付かない。だったら辛い思いをする前に消えてしまった方が、どんなに幸せか。 「――――貴様、こんなところに居たのか。」 聞き覚えのある硬質な声に身体が大仰にはねた。 死角になっていた茂みを掻き分けて、美しい人形が立っている。 私よりもずっと早くに半兵衛様の死を知っていたであろう鋼の瞳は、平生とは違い少し赤い。 泣くなんて想像もさせない人なのに涙を流すなんて、それだけで責められているように感じた。 「三成さま、何で、」 半兵衛様が亡くなったなんて、きっとそれだけであなたは他の事にかまけている余裕なんてないはずなのに。 そんなに私を早く責めたいのか―――それとも、許してくれるのか。 「・・・・・三成さまは、私を、責めないんですか。」 「ああ。」 予想に反した肯定に期待してしまい、だらしなく流れていた涙が止まりそうになる。 「半兵衛様が貴様を責めるなと言っていた。」 「―――――、」 しかしすぐさま鈍器で頭を殴られたような衝撃が走り、立ちあがりかけた腰を力なく下ろした。 半兵衛様が私を責めるなと言ったから三成さまは私を責めない? だとしたら、その命令がなければ私のことを責めていたの? そんな大事な自分の感情まで―――半兵衛様の命令に従うの? でもそれで肯定されるのが怖いから私は何も聞けない。 私は自分自身が責められるのが怖い。何もできない役立たずだと追われるのが、何よりも。 「う、ぇ・・・・・、」 溢れてくる何かが抑えられなくて、再び自分の両目から情けなく液体が零れていた。 しかしそれは半兵衛様の死を悼んでいるものだけではない、自分が可哀想だからだ。 そしてまた自分に吐き気のループと、もっと別のドロドロした何かが、うずまいて、 「泣くな。半兵衛様は―――偉大だった。」 「っぅ、ぐ・・・っく、うっ」 半兵衛様の死を悲しんでいるのだろうと気遣わしげに三成さまの手がぎごちなく私の頭を撫でる。 その感触があまりにも優しくて温かくて、そうじゃないと否定する言葉はついに言い出せないままだった。 →おわり ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- あとがき。 スゲーッ!マジで誰も得しねえッ!! 一応救いがあるとしたら三成がわざわざ探した理由を察してあげてください。 まぁ半兵衛の言葉を伝える為だけだと言ってしまえばそれまでなんですがね!(どやぁ でも人が泣いているときに頭を撫でるのは半兵衛の受け売りです(追い討ち あ、結局救いの目を全部潰してしまった。 便座上、半兵衛夢としましたがこれってどうなの誰も得しないじゃないの・・・でも書いてて楽しかったです。 こんなん書いてますが私は別に半兵衛や秀吉が嫌いだとかそんなことはないです。だからと言って好き!ということもないですが 。 好きとか嫌いとか萌えとか感じたことはなくて、強いて言うならX仮面と呼んでるくらいしか・・・ しかし豊臣のためにどこまでも冷酷になれる彼もまた美しいと思います。っていうか秀吉なんでこんなに愛されてるのすごくね? 最後のヒロインの反論に対し半兵衛の独白を挟もうと思いましたが別に誰も得しないと思って省きました。 ええと、半兵衛もまるっきり冷酷な人間ではなく手塩にかけて育てた三成を連れていくことに対し多少の罪悪感はあったんだよって。 でもできるかどうかはともかくとして、自分達のものだった三成を横から掠め取ろうとするヒロインが目障りだったっていう(追い討ち再び だからヒロインを試すような言葉をかけたんだよっていう、あ、ほんとに誰得。 このシーンで「黙れ小僧」と半兵衛に言わせたくなった人は大人しく挙手してください。 え?配役?ヒロイン→アシタカ・サン→三成・モロ→半兵衛・シシ神様→秀吉・ヤックル→家康かな。 タイトルもののけ姫にしようか迷ったけどやっぱりやめたのは最後の理性。 まどか☆マギカが絵柄に反して超絶鬱展開で案の定好きになりました。そしてトラウマメーカーになりそうな風格。 先輩の戦闘シーンでマスケット銃を無限に召喚して惜しみなく使い捨てていくのがめちゃくちゃかっこよかったです。 2011年 1月24日執筆 八坂潤