あのバージルが敗走した。
いや、正確には敵を前に背を向けて逃げ出した。

天を衝くあの邪悪な塔での出来事ののち、私とバージルは魔界の底に落ちた。
空を仰いでも闇のように濁った空間が広がり、目線を正面に戻しても禍々しい空間がどこまでも横たわっている。なんとも寂しい場所だった。
こんな何もない世界に生まれたんじゃ、かの魔王があの青空と豊かさが溢れる人間界を欲したのも無理はなかったのかもしれない。

さて。これからどうすればいいんだろう―――すぐに答えはやってきた。
魔界にやってきた新しい客人を見逃さないと言わんばかりに、暗闇の中に光る赤い三つの点。
続いて地を這うような恐ろしい声が響き、スパーダに封じられた魔王だと名乗ってもらえたおかげですぐに状況は把握した。

あの伝説の悪魔、私の知る限り最強の双子の父親が苦心して封印した魔王が私達を睨んでいる。
自分を封印した仇敵の息子が懐にやってきたのだ。笑顔で見逃すような広い心は持ち合わせていないだろう。

ああ、これから私は死ぬのか。

ここに一緒に落ちてきて以降、一切物言わぬ青い背中をチラリと伺う。銀の髪はこの暗闇の世界でも月明りのように美しかった。

伝説の悪魔と人間の血を引いた彼は、力を信奉し渇望するあまりにさっき世界を滅ぼしかけた。父親の封印を破ってまで!
それについてどう思っているんですか、なんて質問する無謀なコメンテーターになるつもりはない。でも後悔するくらいなら最初からやらないのだろう。そういう人だ、いや悪魔でもあるが。

そんな彼は、弱者で何もできない私をもちろん助けない。
弱者を助けてくれる方の弟はさっき人間界ごと切り離されたばかりだ。近所の公園という距離でもあるまいし、助けは望めない。

私は魔王と伝説の悪魔の息子の戦いに巻き込まれて死ぬ。
まぁもともと衝撃の事実を伝えられたばかりの我が身だ。意外と悲壮感はない。未来への渇望も、もはやない。
未練はと聞かれれば、死ぬ前にどうしてもやりたかったことはやれた―――この青い男のおかげで。だから、まぁ・・・いいか。


「へ?」


諦念と物思いに耽る手を誰かが引いた。もう殺されるのかと身を固くする。
と思ったら肩から千切れんばかりの勢いで強く引っ張られて、殆ど地面に足もつけられないような状態で走り出す羽目になった。

遠ざかるあの恐ろしい真っ赤な目と雲霞のような悪魔の群れ。
慌てて視線を進行方向に戻す。邪悪な悪魔と弟との死闘を終えたばかりの青い背中はところどころ紫に斑に染まっていた。無理に動いたから傷口が開いている!


「ちょ、バージル、いいの!?」

「・・・・・・・・・・」


私の腕を引く男は進行方向を向いたまま答えない。視線すらも寄越さない。
でも繋いだ手だけは力強く、自分の力に絶対的な自信と誇りを持っていた男は―――かの魔王の前から逃走した。























「・・・・・・・・・・・・・・」


いつの間に眠っていたんだろう。
精神も身体も鉛のように重たく、ちっとも休んだ気がしない。
そりゃそうだ。悪魔がウヨウヨいる魔界でぐっすり眠れる人類なんてそうそういない。ましてや逃亡中の身だから猶更だ。

人間の生活を模して悪魔が作ったらしき廃墟の中に私達は潜んでいた。
石造りの粗末な狭い建物は、狼が息を吹きかければ崩れそうなほどボロボロで映画や絵画で見た中世の家に似ている。参考にした時代が古いのだろう。
ベッドや家具なんて気の利いたものは当然なく、地面とそう変わらない石畳は容赦なく体力と気力を奪った。

しかしそうは言ってもいつまでも瞼を閉じている訳にはいかず、重い身体を引き摺ってなんとか身体を起こす。


「・・・・おはよう、バージル」

「・・・・・・」


目覚めの挨拶にもバージルは空を見上げたまま動かない。
振り返るどころか反応すらしない背中を、まぁそうだろうなと受け入れる。愛想の良さとは対極にいる男だ。
海のように青かったコートの色はところどころ血に染まったまま。着替えがないのだから仕方ない。

こんな状況でもお腹が空いたな、と腹の皮膚越しに胃袋をさする。
人間が生きることを想定していないこの世界にまともな食事なんて望むべくもなく、近い未来に私は餓死するだろう。
半分悪魔であるバージルはそれでも生きられるのかもしれないが・・・でもこの男が大人しく飢え死になんて結末を選ぶかどうか。


(もしくは魔王に捕まって殺されるのが早いか・・・どっちにしろ未来は明るくないな)


きっとあの灰色の空のどこかでは禍々しい三つの赤い目が光っていて、閉じることなく私達を探し続けている。
この拠点もまた場所を変えなければすぐに見つかるだろう。また別の拠点を見つけて、そして逃げ出して、また逃げ出して―――それはいつまで続けられる?

あまり口にしたくないが私達は手詰まりだった。
それくらい相手は強大で、絶望的だった。これを単騎で制したスパーダさんの偉大さが身に染みる。

そしてこの程度の結論、私でも分かるのだからきっとバージルも同じことを考えているに決まっていた。
―――だからこうなるのは薄々分かっていたのかもしれない。


「・・・・・・」


それまで無言で空を見上げていた背中が振り返って、座る私を見下ろす。
水晶の瞳に意志の強い銀眉、整った鼻梁に色素の薄い唇―――半分人間ではないと言われれば納得してしまう程に整った美しい顔。
魔界の僅かな光を背景に立つ男の表情には、敬虔な信者に殉教を告げる天使のような静謐さがあった。


「今からお前を殺す。―――何か言い残すことは」

「えっ」


いきなり無感情に告げられた死刑宣告に声を出して固まる。
私が目と口で大きな円を三つ顔に浮かべている間に、彼はその白刃を静かに抜き放っていた。冷たい金属の光にひゅっと息が詰まる。

冗談でしょ、と返そうとしたがあまり長くない付き合いでも分かる。バージルは本気だ。
今まで何度も突き付けられたあの刃が、本物の殺意を伴って私に向けられている。粘つく舌をなんとか動かして言葉を紡いだ。


「言い残すことっていうか・・・理由とか、聞いてもいい?」

「貴様が足手纏いだからだ」

「あー・・・、そういう、うん・・・そうだね・・・・」


そう言われてしまえばぐうの音も出ない。
元より一度は死んだような身の上だ。それにここに落ちてきた時にすぐに気付いた結論じゃないか。

―――まさか、その足手纏いを連れて逃げてくれるなんて思いもよらなくて、少し、期待してしまっただけで。


「このまま二人であの魔王に捕まれば、お前は惨たらしい拷問を受けて殺される。仇敵スパーダの息子である俺を屈服させるために」

「それは・・・イヤだ。どうせ死ぬのなら苦しんだり痛い思いをするのは、怖い」


だからそうなる前に殺すと彼は言っているのだ。なんて透徹した理論。
一見、無慈悲な行動に見えても彼にとっては一滴の甘露のような優しさなのだろう。
まるで瀕死の重傷を負った戦場の兵士にこれ以上苦しまないようにと、速やかにとどめを刺す短剣のような慈悲。


(それにしても、バージルを屈服させるために私を惨たらしく殺す前に私を殺すって、コイツ的にも私が酷い目に遭うのはイヤってことなんだ・・・)


見知った顔が自分のせいで辛い目に遭わされるのはイヤだという感性はとても普通の事だと思う。私もイヤだし。

でもこの場合、その当たり前な感情を示したのがバージルだということが問題だった。
己の目的の為になら他者の死も厭わなかった非情な男が、正義の悪魔の息子でありながら人間界と魔界を繋いだ冷徹な男が、そして煩わしい人間の血を半分引く男が。


「―――わかった。いいよ、殺して」


これっぽっちのことで相手に親愛を感じるなんて、恐ろしく低いハードルだ。
まるでDV男がきまぐれに一瞬見せる優しさに縋る哀れな女のようで、我ながら笑える。いや笑えない。

でもこの男が気まぐれに慈悲をもたらすような悪魔ではないことは重々承知していたので。


「でも、せめて痛くないようにしてほしいな・・なんて・・・・いや、死ぬのは初めてじゃないらしいけど・・」


私が死刑を了承する間も、氷のように美しい表情は凍り付いたようにぴくりとも崩れない。それが少し悔しくて、当たり前だと納得する。

諦めないであの魔王と戦おうとか、戦ってみないと分からないよ、なんて言うつもりはない。
誰よりも、恐らくあのダンテよりも負けず嫌いなこの悪魔がそう断じたのだ。ならばこうするのは最悪で最善なのだろう。

手持ち無沙汰に指先を弄りながら瞼を閉じた。これから殺されるのわざわざを目を閉じて待っているのは不思議な気持ちだ。
ただ単に死ぬ瞬間を見るのは怖いだけだったんだけど、相手を前に目を瞑るシチュエーションって恋人からのキス待ちにも似ているなという最高に場違いな感想を持つ。現実逃避だ。


(・・・・こうなるのはきっとバージルも分かっていたはずなのに、何で誇りを曲げてまで私の手を引いて逃げてくれたんだろう)


そう聞きたいのをぐっと堪える。
もうどうせ最期になるのは確定しているのだから最後くらいは口を滑らせてもいいはずだけど、そう問われるのは彼の矜持が許さないと思ったので。


「・・・・」

「―――、」

「・・・・・・・・?」


しかし待てど暮らせどその時は来ない。
いや、もしかしたらもう死んでいるのにその事に気付いていないだけなのか?
バージルの刀って切れ味が良すぎて斬られた悪魔もビックリしている節があるし、アニメみたいに時間差でバラバラになったりするし。

恐る恐る目を閉じたまま首筋を撫でてみるが指先に違和感はない。まだくっついたままのようだ。


「・・・・・・・・・・・・、」


更に数十秒待つ。何も起こらない。
せっかく覚悟を決めてやったというのにいつまで経っても何も起きないなんて、なんだか騙された気分だ。
ええい腹が立つ!そりゃあバージルからしたら私の気持ちなんてちっぽけだろうけど、でも一寸の虫にも五分の魂があるんだぞ!?


「あーーーーもう!やるんなら早くしろ!!こっちはもう覚悟決めてるんだけど!?」


それまでぐっと閉じていた目を開いて相手を睨む。
そこで初めてバージルの顔を真正面から見て、そしてこの男もこんな顔をするのかと思った。


「――――ごめん」


冷静になって考えてみれば。
私が酷い目に遭う前に、そうならないように殺そうと言った男が―――その手で私を殺すことに何の呵責も感じないはずはなかったのだ。
例えそれが私の魂を救うためだとしても、自分の提案であっても、だからこそこの男は冷血な悪魔という訳ではないのだから。


「―――人間を斬るのは初めてではない」

「・・・だろうね」


同じ半分悪魔で半分人間の血を引くダンテは、きちんと確かめた訳じゃないけど人を殺したことがない。そう確信があった。
だが、その兄であるバージルから殺人を告白をされても、まぁそうだろうなと思う。無意味な嘘を吐く悪魔ではないし、そして良心に躊躇う人間でもない。


「そして、今までどんなに力のある悪魔だろうと、人間であろうと、斬った事に葛藤など感じたことはない」

「そこはちょっと感じなよ・・・・まぁうすうす知ってた」

「だが、こんなに斬りにくいと思った相手はお前が初めてだ」

「――――、」


不愉快そうに、戸惑うように、自分の感情を吐露する男の言葉に一瞬息が止まる。
相手の表情筋は相変わらず凍てついたように動かないが、美しい碧眼には微かに感情が揺らいでいるように見えた。その感情に私が名前を付けて良いのなら、それはきっと惜別の。

自分の唇が弧を描くのを感じる。恐怖を誤魔化す演技でもなく相手への気遣いでもない、自然な感情で。


「・・・・何故笑う」

「ごめん。悪い意味じゃないよ、ちょっと嬉しくなっただけ」

「嬉しい・・・・?死を目前に気でも狂ったのか」


蒼氷色の瞳が困惑したような色を見せる。この冷静沈着な男をここまで乱した女はきっと珍しいだろう。もしかしたら私だけかもなんて、謎の優越感に爪先を浸す。


「いや、だって、それってバージルが私を殺すことに少しでも葛藤してくれたってことでしょ?
 頭のおかしい事言っているの分かってるけど、でもちょっと嬉しいよ。だって躊躇いなく殺されたらちょっと寂しいもの」

「・・・・・・・」


お世辞にも性格が良いとは言えない言葉に美しい銀の眉が不愉快そうに顰められるが、その感情のままに神速の太刀が振るわれることはなかった。
これから死にゆく者の戯言と許したのか、それとも別の感情なのか。ああ、きっと後者だと嬉しい。

しばしの沈黙の後、骨ばった手が刀を握り直した。もう雑談も終わりという事だ。


「一緒に落ちたのがバージルでよかった。・・・そのせいで嫌な思いをさせるのは悪いなって思ってるけど」

「―――そうか」


バージルの手元が一瞬霞んだ、と思ったら空気を斬るような音と共に私の首は宙を飛んでいた。
物理法則に従って地面に落ちるだけの首を、そうなる前に大きな両手が受け止めている。己の手が私の血で汚れるのを厭わずに。


「俺 一緒に落ち   お前 よ った」


バージルがきっと、とても大切な事を言った。
けれど死にゆく私の耳には最後までその言葉を聞くことはできなかった。だってほら、もう意識を保つのも精一杯で。


(でも最期にいいものを見たな)


きっと私以外の人が見た事がない美しいもの。今際の際に私だけが独占することができたもの。
この人が子供の頃に捨ててしまったもの、ずっと殺し続けてきたもの、そしてやっと取り戻したもの。目を閉じたまま殺されていたら見えなかったもの。


(あ、もう、)


僅かに脳に残っていた酸素が尽きて視界が暗くなる。意識も闇の中にどろりと溶ける。
最期の力で『がんばってね』なんて言ってみたけど、きちんと相手に届いたかどうか。確かめるすべもなく。



そうして私のゲームオーバーの先、のほんの短いコンティニューは終わりを告げた。

画面でカウントダウンする数字も、それを救うコインの投入先も見当たらない完全な死。

さっき心残りはないと言ったけれど、その言葉に嘘偽りは本当になかったのだけれど───でも少しだけ、もっと一緒に居られたら、なんて、
















首と胴体が離れ、正しく死体となった女の身体を見下ろす。
自分のグローブを真っ赤に染めて滴る血は徐々に熱と赤い輝きを失い、着実に過去の物へとなっていった。
合わせて己の心も静かに冷えていくのを感じ―――そもそもまだ自分に冷えるような熱があったのかと思うと不思議な心地だった。


「・・・・・・」


手に持っていた首の、夢見るように薄っすらと開いたままの黒目を閉じさせてやる。
まるで明日の朝にまた目が覚めると言われれば信じられそうな、己が今まで斬ってきた中でおそらく一番、穏やかな。


(もし、一緒に落ちてきたのが俺ではなくあの男だったのなら、)


そんな下らない迷いを何度も口から滑らせそうになった。
だがこの女は自分でよかったと言う。そして何故か微笑んで、恨み言一つ漏らすことなく大人しく自分に殺された。

首からの出血で赤く染まる石畳に片膝をついて、首のない胴体をそっと抱き寄せる。

―――実際に、この人間が自分の目の前で拷問されても心が折られたかは分からない。最初から全て自分の行動は無駄だったのかもしれない。
だがきっと、これでよかったのだとすとんと腑に落ちる思いだった。久しぶりに論理ではなく感情が出した結論に悪い気はしない。


「     、」


秘められた呪文と共に首のない胴体に手をかざして魔法を発動する。
この暗闇の世界でも鮮やかな青い魔法の炎に包まれて、人間の脆い肉体はすぐに灰になっていった。
疲弊した身体に残され僅かな魔力を使った、死体が悪魔に喰い漁られることのないようにという処置。

人がいないはずの周囲が段々と騒がしくなり、窓から覗く闇の天蓋が不自然な渦を巻く。魔王の登場の前触れだった。


『がんばってね』


女の額にかかる前髪をそっと指先でどかして、青白い額に唇を寄せる。
そして徐々に消えつつある青い炎に首をくべて、今度は刀を手に取った―――人間に慈愛をもたらした父の形見は己の非情な行動をどう思っただろう。
今まで幾度となくその形見で悪魔も人も斬ってきたくせに、今更な疑問だった。


「―――行くか」


最期の拠点を背に出陣する男の足取りは朝の散歩のように軽やか。
生きて戻らぬ死出の旅路と理解しながらも、水晶の瞳には死人にはない力強い光と美しい唇には微笑み。




そして灰が跡形もなく散った頃―――スパーダの息子は敗北し、助命の機会を与えられてもそれを拒み、首を刎ねられて殺された。
それは全てを捨てて己の力に誇りを捧げた半魔の男には相応しく、そして誰も知らないささやかな優しさを伴う最期だった。








































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あとがき。
バージルはきっと「他にどうしようもなければ」愛する人を殺せる。というのが私なりに出た愛情表現でした。好きだからこそ、苦しませないし自分の手で。
ダンテはきっと「他にどうしようもなければ」一緒に死んでくれる。

いや彼は主人公なので死にませんが・・・でも頑張って想像するのなら、意地でも好きな女を守って、自分が先に死ぬと思います。その後に相手も死にます。
ダンテの方が苦しいけれど、愛情があれば乗り越えられるのかもしれません。バージルの方が優しいと感じるかは好みの問題だと思います。

以下、公開している連載でお出ししていないけれど、作中でさらっと出した設定。


衝撃の事実(夢主について)→
アーカムが霊力が高い人間を複数攫って殺してバラバラにしてミンチにして、その肉片に死んだ人間の魂を憑依させた、フランケンシュタインもどき。ゾンビでもいい。
電力ではなくアーカムの魔力で動く。原理は雑魚悪魔が砂や人形などを依代に現世に来てるのと同じようなもの。
こうすることで①身寄りがない②悪魔に狙われやすい③弱くて脆い人間という、ダンテとバージルにとって古傷を抉り庇護欲をそそられる存在を作った。

まったく違う人種の肉の寄せ集めでも、外見は魂の情報のまま復元される。ちなみに魂の選ばれた理由は完全に無作為。
そのためアーカムはダンテ達に「もっと美しい女性を用意できず申し訳ない」「それとも君たちの母親似の方がそそられたかな?」と真摯に謝罪した。

そういった経緯の存在なので普通に生きられるように設計されてない。その内ちぐはぐの肉体と魂は内側から自壊して死ぬ。
アーカムが計画を遂行しやすくなるように、無自覚にだがダンテとバージルを誘導している(どう考えても危険極まりない塔に登る・バージルからダンテを身を挺して庇う等)
人間の脳と思考は複雑なので完全に操る事はできない。精神的に深刻なダメージをくらった時でもなければ。


バージルへの借りと、やりたかったこと→
アーカムが正体を明かした辺りで、ついでに夢主の正体が明かされる。その時の精神的隙をついて身体を操られて、夢主はダンテを銃で撃った。
そのせいでダンテはアーカムを取り逃すし、もう用済みと言わんばかりに夢主は腹をぶち抜かれてゴミのように捨てられる。バージルと同じ最下層へ。
さすがに動く死体でも生きられない(?)状況だが、バージルの血が混ざる事でなんとか一時的に命(?)を繋いだ。

自分の正体もろもろを知って「ダンテを撃ったことを謝りたい」一心で今度は自分の意思で塔の登頂を目指すが、もちろん普通の死体には無理である。
なので、「道案内をする」という建前でかつ「自分が不審な行動をしたら殺していい」と説得して、バージルに助けられながら塔を登って、目的を果たした。
ちなみに言うまでもなく、バージルには道案内なんて要らないし一人で登った方がよっぽど早い。


2021年 6月26日執筆 八坂潤
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