というのは、一言で言えば奇妙な人間だった。 行軍帰りに、無様に柿木に引っかかっていたのを見つけた時は斬ってやろうかと思った。 しかし家康に止められ刑部が興味を持ったというので渋々連れ帰ってみれば、泣きながら自分を未来の人間だと名乗った。 余りのくだらなさにやはり斬ろうかと逡巡した時、あろうことか半兵衛様が興味を持ったのだ。 本当だったら面白い、それに豊臣の役に立つかもしれないと言われれば反論の余地などあるわけがない。 しかし自分の小姓にしようと言われた時はやはりあの場で斬っておけばよかったと後悔した。 というのは、一言で言うと役に立たない人間だった。 ただの気狂い、もしくは間者だという疑いを常に持っていたから相手がボロを出すのを待った。 しかし結論から言えばボロだらけだった。 朝は起きられない、着物は一人で着られない、不味い茶しか淹れられない、文字は読めない。 そして生まれたての赤子のように戦乱の世を知らない。 たかが刀を見るだけで血の気がひいてる姿には呆れかえるしかなかった。 そして数々の言動からコレが未来の世の人間だと認めざるをえなかった。 というのは一言で言うと楽な相手だった。 間者でなく、未来の知識以外役にも立たない、そして徹底的に豊臣に無害だとわかれば徹底的に放置した。 会話はおろか、同じ空間で息を吸うことすら拒否した。 しかし相手も私が煩わしく感じているのを察してか、必要以上に関わってこようとしないのは楽だった。 小姓という立場はいよいよ名ばかりのものになり、何故こんなものが秀吉様の城にのうのうと居座っているのかと思うと苛立った。 私が倒れた際に大粒の涙を零し怒り狂った時も煩わしかったが、しかしその泣き顔を斬り伏せようとは何故か思わなかった。 というのは一言で言うと面倒な女だった。 私が倒れて以来、必要以上にこちらに接触するようになった。 家康と二人で秀吉様の為にならないような下らない事で私に関わってくるのが理解できず不快だった。 特に飯時と就寝時はこちらがいくら脅しても怯まずに猪のように突進し家康が介入してくる。 初めは軽くあしらっていたが回を増すごとにしつこさを増し、そして刑部がそれに同調すれば従うしかない。 許しを得てかいよいよ図に乗った相手をやはり斬滅しようと思ったが相応する理由がなくいよいよできなかった。 というのは実に弱い女だった。 力もなく賢くもなく戦乱の世に馴染むこともできない弱さは秀吉様が捨てるべきだと言った弱さそのものだ。 しかしその罪深い手が秀吉様と半兵衛様と、全てを失った私の背に添えられる。 しかしその業が深い声が私を呼び何もできないくせに愚かにも私に生きてほしいと懇願する。 が豊臣の為にならないのは歴然で斬滅する理由はできている。 ただ刀を振るうだけのその手は何故か自分に抱き寄せるように小さな背に回されていた。 →物語 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- あとがき。 はじめてきた方ににはこんにちは。うちの三成夢って基本的にこんなのです。 こういうのが苦手な方は今すぐブラウザバックでリターンというワンクッションに役立ててください。 そうじゃない猛者の方はようこそいらっしゃいました。どうぞゆっくりカルピスを口に含んで読んでください。笑いどころ少ないですが。 豊臣時代とかまじ夢が広がりんぐなんですが本当にどうすれば・・・! BL的な意味じゃないんですが、三成と家康見てるとお前ら結婚しろよと思います。 吉継も三成のことはどうにかしたいと思っているけれど、甘やかしてしまうタイプだとエスパーしました。 三成は一応、茶をたしなむ人だから味には厳しそうだ。 それぞれ文章がリンクしてるので、面倒ですが三窓するとちょっと面白いかも。 初めての試みなので見辛いかもしれませんがすみません、やってみたかったもので・・・! 2010年 12月15日執筆 八坂潤