「あー・・・・・」


一人なのに、しかも人前でそんな残念そうな声を出したのは私。
目の前には『故障中。』との紙を貼られたコピー機。


私の手の中の、コピーする予定だった紙が寂しく揺れる。
店員さんが、思いのほか大きく出てしまった私の声と原因に気付いて申し訳なさそうな顔をする。

その反応に気付いて私は表情を一転、にこやかな作り笑顔をして店を立ち去った。



店から出て伸びをすると、夕焼けの赤い光が私の目を差す。
「夕日が赤いのは数ある光の色の中で最も遠くまで届くから」と言っていたのは誰だったか。

すぐ後ろから知らない子供達が走り抜けていく。
疲れた顔のおばさんがスーパー袋をぶら下げて歩く。

そんな日常的風景を目に流しながら、目的を果たせなかった私は大人しく家に帰る。


「はぁ〜あ・・・・」


いつもの平和で退屈な日常。

それを言い換えてみるなら、カラーコピーされた日常。
今日はたまたまコピー機が故障したという誤字があったけれど、いつものように繰り返される退屈な風景画。

でも退屈と思うのは今のうちだけだ。
いずれはそこら辺に居る人達のように、退屈などという感情は摩耗し社会に溶け込んでいく。

別にそれを悪い事だとは思わないけれど、喜んで受け入れるかと言われれば答えはNOだ。
主人公になりたいとはさすがに感じないが、それでも何かにはなりたいと思う。


「・・・・・・・・・?」


何だか妙な気配がして勢い良く振り返る。
そこにはいつも通りの光景が広がっていて、特に何か起こりそうな気配も無い。

それでも何か背中がざわざわして落ち着かない。


(・・・・・・・・・何だろう)


何かこう、虫の知らせっていうヤツなんだろうか。
誰かに何かがあったのか、それとも自分に何かがあったのか。

嫌な予感と想像が止まらないので歩調を速めた。
私は特に勘が鋭い訳でもないし、こういうのは大抵が杞憂に終わる。


けれど、今回は違った。


「あれ?」


突然、私の情けない声と共に踏み込む足が止まる。
どうやっても動かず、無理やりに動かそうとした手もぴくりともしなかった。
助けを求める為に首を動かそうと試すが動かず、周囲に視線を走らせるが誰も彼もが動いていない。

例えるならそう、時が止まったよう。


「え、ちょ、これ、どういうこと?え、集団同時多発金縛り事故?」


金縛りなんて大した事でもないけれど、ここまで大規模だとさすがに生命の危機を感じる。
疲労が原因じゃなくて、例えば幽霊とか幽霊とか幽霊とかだったらものすごく困る。
そんな霊的なものが原因だったら私はどうすればいいのか分からない上にどうしようもない。

何気なく足に目をやると、それよりも先の地面に目が釘付けになった。


「うわ、気持ち悪・・・・」


声の原因は、赤い毒蛇のような細い光が自分を中心に何かの図形を形作っていたからだ。
不気味な光は不可思議な軌跡を描きつつ、奇妙な絵は完成に近付きつつある。

直感でそれを完成させてはならないと感じ、阻止しようとするがやはり動かない。
ぞわぞわと先程の虫の知らせ、もとい悪寒が背筋を這う。


「だ、駄目・・・やめて!ストップ!!」


私の懇願も虚しく何条もの毒蛇は結びついていく。

完成まで、あと少し。


「―――――」


図形の完成を最後まで見ることなく視界が黒く染まる。

やがて意識すらも昏く塗りつぶされ、私は深い闇の中へと堕ちていった―――・・・































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あとがき。
DMC3夢のプロローグ。
正直、書くのめんどくさかっ(ry
毎度毎度こういう前置き的なものを書くのはやっぱりめんどくさ(ry

なので前は適当に書いてしまいましたが反省してちゃんと書きました。
書いてけれどやっぱり面倒くさいですね!(言っちゃった)
他に比べて手抜き臭が半端な(ry

サイショハ、カンジン、デスヨネ


誰でも現状に対しての不満、というのは持っていると思います。
物語の主人公になりたい願望というかヒロインになりたい願望というか・・・英雄願望?
それを胸に秘めるのが大人で秘めないのが子供の違い。

ちなみに八坂は子供なので(※現在大学生)普通に友達に「幻想入りしたい」と言ってます、幻想入りしたい。
けれど別に幻想入りしたり二次元にいったりしても上手くいくとは限らないのに、何でなんとかなる自信があるのか不思議。
旅立った先の未来が暗いとはみんなあまり思ってないですよね、ロマンだからか。

コレを書いてる時は著作権が超怖いことで有名なゲームのDS続編が発表されているのでその影響が一瞬。
Uはセッツァーの扱いの悪さに真剣にブチ切れてディスク破壊未遂があったけどアクセルは良い奴ですよね、買おう。
音楽もバハムートラグーンの人が作ってるし、すごく良い。さすがだ・・・


2007年 3月25日執筆
2008年 11月1日執筆 八坂潤
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